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海外通販の充電器とモバイルバッテリー──PSEマークの「丸」と「菱形」は何が違うのか

海外通販に並ぶUSB充電器やモバイルバッテリーには、日本ではPSEマークの制度があります。充電器は菱形、モバイルバッテリーは丸。なぜ形が違うのか、そして「自分で使うために買う個人」はこの法律のどこに位置するのかを、経済産業省の説明にもとづいて整理しました。

2026-08-09 公開

海外の通販サイトで、いちばん値段の差が大きく見えるのが充電まわりの品です。

  • USB充電器・ACアダプタ
  • モバイルバッテリー
  • ワイヤレスイヤホンの充電ケース
  • ポータブル電源

日本で同じような品を買うと数千円するものが、海外だと数百円で並んでいることがあります。

その差が何から生まれているのかを、私たちは断定できません(作る場所も、流通の段階数も違います)。ただし日本で売るために必要な手続きが1つ増えるのは確かです。それがPSEマークです。値段の話をする前に、ここだけは知っておく価値があります。

PSEマークとは何か

根拠になっているのは電気用品安全法という法律です。経済産業省は、この法律の目的をこう説明しています。

電気用品の製造、輸入、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止する。(法第1条)

PSEは、PSが「Product Safety(製品安全)」、Eが「Electrical Appliances & Materials(電気用品)」の略です。

つまりPSEマークは、「この製品は日本の安全基準を満たしていると、責任を負う事業者が確認済みです」という目印です。

「丸」と「菱形」がある理由

ここが分かりにくいところですが、理由は単純です。危ないものほど、確認する人が増えるという作りになっています。

菱形のPSE 丸のPSE
呼び方 特定電気用品 特定電気用品以外の電気用品
どんなもの 特に危険・障害が起きるおそれが多いもの それ以外の電気用品
品目数 116品目 341品目
身近な例 直流電源装置(=USB充電器・ACアダプタ)、電気ポンプ、自動販売機 リチウムイオン蓄電池(=モバイルバッテリー)、電気冷蔵庫、音響機器
誰が確認するか 登録検査機関の検査が義務(法第9条) 事業者が自ら確認するのが原則

この記事で扱う2つだけなら、こう覚えてください。 充電器・ACアダプタ=菱形。モバイルバッテリー=

🚨 「コンセントに挿すもの=菱形」ではありません。テレビも電気スタンドもコンセントに挿しますが、どちらもです。どちらの形になるかは、品目ごとに政令で個別に決められています。

充電器が菱形になるのは、政令で「直流電源装置」という品目が特定電気用品に挙げられているからです。定義はこうなっています。

直流電源装置(交流電源装置と兼用のものを含み、定格容量が1kVA以下のものに限り、無線通信機の試験用のもの、特殊な構造のものを除く。)

家庭で使うUSB充電器やACアダプタは、コンセントの交流を直流に変えて出す機械なので、ここに当てはまります。第三者である登録検査機関の検査を通さなければ、事業者はマークを付けられません。

モバイルバッテリーが対象になったのは2018年から

モバイルバッテリーは、もともとこの制度の外にありました。経済産業省のFAQには、こう書かれています。

平成30年2月1日以降、製造、輸入又は販売の事業を行う者は、PSEマーク表示の無いモバイルバッテリーを販売することはできない(流通在庫を含む)。

平成30年2月1日=2018年2月1日です。それ以前に作られた品には、マークが無くても不思議はありません。

対象になるのは、内蔵する単電池1個あたりの体積エネルギー密度が400Wh/L以上のものです。この数値は商品ページには普通書かれていないので、買う側が自分で判定するのは現実的ではありません。判定は事業者の仕事であり、私たちが見るのは結果として付いているマークのほうです。

意外な線引き(同じように見えて、扱いが違うもの)

FAQを読むと、見た目で判断できない例がいくつも出てきます。知っておくと商品ページの見方が変わります。

モバイルバッテリーにLEDライトが付いている
対象。「LED照明やカイロなどの単純で付加的な機能があったとしても、主たる機能が外付け電源として用いられるものはモバイルバッテリーとして扱い、対象」とされています。
交流100Vが出せる「ポータブル電源」
非対象。蓄電池の出力は原理上直流だけなので、交流を出せる製品は蓄電池に当たらない、という理由です。
ワイヤレスイヤホンの充電ケース
対象。主たる機能が本体への給電なので、モバイルバッテリーとして扱われます。
モバイルバッテリー機能付きWi-Fiルーター
非対象。主たる機能はWi-Fiルーターであって給電ではない、という判断です。

「電池が入っているかどうか」ではなく「主に何をする機械か」で決まる、というのが共通する考え方です。

いちばん大事な点──この法律は誰に義務を課しているのか

海外通販を使う人にとって、ここが核心です。条文を見ると、義務を負う相手がはっきり書かれています。

電気用品の製造又は輸入の事業を行う者は、(中略)事業開始の日から30日以内に、経済産業大臣に届け出なければならない。(法第3条)

電気用品の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、(中略)表示(PSEマーク等)が付されているものでなければ、電気用品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない。(法第27条)

繰り返し出てくるのは「事業を行う者」です。この法律が名指ししているのは、作る人・輸入する人・売る人であって、自分で使うために買う個人ではありません。

つまり、海外通販でマークの無い充電器を個人が買っても、その人を取り締まる規定ではない、ということです。

ただし、これは「安全だ」という意味ではまったくありません。

意味しているのは逆のことです。日本の基準に合っているかを、誰も確認していない製品が手元に届く——それだけのことです。マークが付いていないということは、その製品について日本で届け出をした事業者がいない、ということでもあります。

実際にどれくらい事故が起きているのか

これは想像の話ではありません。製品評価技術基盤機構(NITE)が2026年7月に公表した数字があります。

2021年から2025年までの5年間にNITE(ナイト)に通知された製品事故情報では、「リチウムイオン電池搭載製品」の事故は2140件あり、製品別ではモバイルバッテリーの事故が最も多く発生しています。

しかも季節の偏りがあります。

事故発生件数は春から夏にかけて気温の上昇とともに増加する傾向を示しており、8月にピークを迎えます。

数百円の差を取りにいって、火が出たら元も子もありません。ここは値段以外も見る場所です。

買う前に見るところ

経済産業省・環境省などが連携して呼びかけている「3つのC」が、そのまま使えます。

  1. 賢く選ぶ(Cool Choice)──販売事業者の連絡先や製品情報、リコール情報を確認する。表示マークが適切か確認する
  2. 丁寧に使う(Careful use)──高温となる場所で使用・保管しない。強い衝撃や圧力を加えない。異常を感じたら使用を中止する
  3. 正しく捨てる(Correct disposal)──廃棄時はリチウムイオン電池の有無を確認し、メーカー回収や自治体の区分に従う

商品ページで具体的に探すなら、次の3つです。

  • PSEマーク(充電器なら菱形、モバイルバッテリーなら丸)
  • 届出事業者名——マークの近くに、日本の事業者の名前が書かれているか。モバイルバッテリーでは、マークに近接して表示することが原則とされています
  • 定格電圧・定格容量の記載

🔑 マークの画像が商品ページに貼られているだけでは、確認になりません。 表示は本体に付けるものとされており(小さくて表示が困難な場合にかぎりパッケージ表示が認められます)、日本の届出事業者名とセットになっていることが要点です。

もし転売するつもりなら、話がまったく変わります

安く仕入れて日本で売る、という使い方を考えている場合、あなたは先ほどの「事業を行う者」そのものです。

  • 輸入の事業を行う者は、事業開始から30日以内に経済産業大臣へ届け出る義務があります(法第3条)
  • PSEマークの無い電気用品を、販売することも、販売目的で陳列することもできません(法第27条)
  • 充電器のような特定電気用品は、販売するときまでに登録検査機関の適合性検査を受ける必要があります(法第9条)

海外の認証について、経済産業省はこうも書いています。

電気用品安全法の技術基準の要求事項の多くは、IEC規格やUL基準と共通しているが、一部にはこれらの規格・基準には無い要求事項が含まれているため、IEC規格やUL基準に合格したからといって電気用品安全法の技術基準に適合しているとは言えず、追加で技術基準適合確認が必要となる。

海外の認証マークが付いていても、日本の基準を満たしている証明にはならないということです。この点は、電波を出す機器の技適マークと同じ構造になっています。

まとめ

  • PSEマークは「日本の安全基準を満たしていると事業者が確認済み」という目印
  • コンセントに挿す充電器=菱形(第三者の検査が義務)、モバイルバッテリー=丸
  • モバイルバッテリーが対象になったのは2018年2月1日から
  • 法律が義務を課しているのは作る人・輸入する人・売る人。自分で使うために買う個人は名宛人ではない
  • ただしそれは「日本の基準に合うかを誰も確認していない」という意味であって、安全という意味ではない
  • リチウムイオン電池搭載製品の事故は5年で2140件・モバイルバッテリーが最多・8月がピーク

この記事は経済産業省および製品評価技術基盤機構(NITE)が公表している説明にもとづいています。 個別の製品が規制の対象になるかどうかの判断は、経済産業省の届出・問合せ窓口へお問い合わせください。

出典

制度は変わることがあります。実際のお手続きの前に、必ず出典の最新情報をご確認ください。

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の助言ではありません。

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