海外通販で懐中電灯を注文して、届いた箱を開けたら——電池が入っていない。
商品ページをよく読み返すと、小さく「バッテリーは付属しません」と書いてある。あるいは、電池付きの選択肢だけ「この国には配送できません」と表示されて選べない。
これは店が不親切なわけでも、書き忘れでもありません。そもそも電池は、国際郵便で送れないものに指定されています。
このページでは、なぜ電池だけが別扱いになるのかを、日本郵便と国土交通省の規定にもとづいて整理します。
国際郵便では、電池を単体で送れない
日本郵便は「国際郵便として送れないもの」の一覧に、次の3つを並べて挙げています。
電子タバコ、モバイルバッテリー、リチウム電池
モバイルバッテリーと、電池そのものが、名指しで送れないものになっています。
理由は、これらが 「航空危険物」 に当たるためです。リチウム電池は、傷がついたり熱を持ったりすると発煙・発火することがあります。飛行機の貨物室で火が出ると手の打ちようがないため、国際的なルールで運送が制限されています。
注意: ここで見ているのは 日本郵便の規定=「日本から送る場合」 のものです。ただし根拠になっているのは国際的な航空のルールなので、海外の郵便事業者も同じ枠組みで運用しています。
ただし「機器に取り付けられた電池」は別
一覧には、続けてこう書かれています。
注…機器に取り付けられたリチウム電池(一定の条件を満たすものに限ります。)は、国際郵便で差し出すことができます。(一部の国・地域宛に限ります。)
ここが分かれ目です。
❌ 送れない……電池だけ/モバイルバッテリー(電池そのものが商品) ⭕ 条件付きで送れる……機器に取り付けられた状態の電池
スマートフォンやカメラが問題なく届くのは、電池が本体に組み込まれているからです。一方、懐中電灯の18650電池のように「本体と電池が別々のもの」は、電池のほうだけが引っかかります。
ただし条件付きで、しかも 「一部の国・地域宛に限る」 とされています。宛先によっては、機器に入っていても送れません。
だから商品ページはこう書かれている
ここまでを踏まえると、海外通販でよく見る表示の意味が見えてきます。
- 「バッテリーは付属しません」
- 電池を抜けば普通の荷物として送れるため、抜いた状態で発送している、と考えると説明がつきます。
- 電池ありの選択肢だけ「配送できません」と出る
- その宛先が、電池を含む荷物を受け付けていない可能性があります。
- モバイルバッテリーが検索に出てこない/買えない
- 商品そのものが送れないものに当たるため、日本向けに出していないことがあります。
つまり「電池なし」で届くのはケチっているのではなく、送るための正規のやり方ということです。
なお、電池が別で必要になる分は、実際の支払総額に乗ってきます。 本体だけの値段で「安い」と判断すると、あとで数千円ずれることがあります。総額の考え方はアリエクは本当に安い?でまとめています。
自分で持ち帰るときは、飛行機のルールが別にある
「送れないなら、海外旅行のついでに買って持ち帰ればいい」——ここにも決まりがあります。しかも 2026年4月24日から厳しくなりました。
国土交通省は令和8年4月14日の報道発表で、機内でのモバイルバッテリーの発煙・発火が増えていることを受けた新ルールを公表しています。
・ 機内持込みのモバイルバッテリーは2個(160Wh以下に限る)まで ・ 機内においてモバイルバッテリーへの充電をしないこと ・ 機内においてモバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしないこと
これは 従来のルールへの追加分 です。従来から、次の点は変わっていません。
預け入れ荷物にモバイルバッテリーを入れることを禁止しているほか、モバイルバッテリーの個数・容量を制限しています
まとめると: モバイルバッテリーは 預け入れ荷物に入れられません(=必ず手荷物)。そのうえで、機内に持ち込めるのは2個まで(160Wh以下のもの)。機内での充電・給電も禁止です。
この変更は、国際民間航空機関(ICAO)が定める国際基準の緊急改訂を受けたものだと、同じ発表に書かれています。日本だけの独自ルールではありません。
Wh(ワットアワー)とは……電池にためられる電気の量です。商品や本体に印字されています。書かれていない場合は「mAh × 電圧(V) ÷ 1000」でおおよその値が出ます(例:10000mAh・3.7Vなら37Wh)。
買う前に確認したい3つ
- 電池が付属するかどうか……「バッテリー別売」「電池は含まれません」の記載を探す。無いときは、本体の写真に電池が写っていても付属すると決めつけない
- 必要な電池の種類……懐中電灯なら18650・21700など、サイズが決まっている。国内で買い足せるかを先に確認する
- 電池ぶんを足した総額……本体価格だけで日本の商品と比べない
日本で売られている同等品には最初から電池が付いていることも多く、「本体だけの値段」と「電池込みの値段」を並べると、実際より差が大きく見えます。 当サイトの価格比較でも、この点は数字の読み方として注意が要る部分です。
まとめ
- 日本郵便は「電子タバコ、モバイルバッテリー、リチウム電池」を国際郵便で送れないものに挙げている
- 機器に取り付けられた電池は条件付きで送れる。ただし一部の国・地域宛に限られる
- だから海外通販の懐中電灯は「電池なし」で届くことがある
- 自分で持ち帰る場合、モバイルバッテリーは預け入れ荷物に入れられない
- 2026年4月24日から、機内持込みは2個(160Wh以下)まで。機内での充電・給電も禁止
充電器やモバイルバッテリーは、日本で使うときに PSEマーク の話も出てきます。そちらは海外通販の充電器とモバイルバッテリーで詳しく整理しています。
