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「並行輸入品」って何?──偽物とどう違い、メーカー保証はどうなるのか

通販でよく見る「並行輸入品」。安いけれど大丈夫なのか、偽物とは何が違うのか。特許庁が示す3つの条件と、税関の扱いをもとに整理しました。あわせて、2022年10月から個人が買う模倣品も税関で止められるようになった話も。

2026-08-11 公開

通販の商品名で、こういう表記を見たことがあると思います。

  • 【並行輸入品】 Piscifun スピニングリール
  • 【平行輸入品】 Godox スピードライト

同じ商品なのに、こちらのほうが安い。でも「並行」って何と並行なのか、偽物ではないのか。 ここが分からないまま買うのは気持ちの悪いものです。

このページでは、「並行輸入品」が法律上どう扱われているかを、特許庁と税関の説明にもとづいて整理します。

「正規輸入」と「並行輸入」の違い

メーカーの商品が日本に入ってくる道は、大きく2本あります。

①正規輸入……メーカーが認めた代理店が輸入する道 ②並行輸入……それ以外の業者が、海外で買い付けて輸入する道

②が 「正規のルートと並行して走っているもう1本の道」なので 、並行輸入と呼ばれます。「平行輸入」と書かれることもありますが、同じ意味です。

つまり並行輸入品は、商品そのものは本物です。海外の店で売られている本物を、日本の代理店を通さずに買ってきたもの——それが並行輸入品です。

安いのは、代理店の取り分や日本向けの宣伝費が乗っていないためです。

「本物なら勝手に売っていいのか」という問題

ここで法律の話になります。ブランド名(商標)は、メーカーが権利を持っています。他人が勝手にその名前の付いた商品を輸入・販売してよいのでしょうか。

特許庁は、まずこう説明しています。

商標権者は、指定商品又は指定役務について、我が国で登録された登録商標を使用する権利を専有しています。(中略)その登録商標を付した指定商品の輸入・販売を行うことは商標権の侵害にあたる、というのが形式上の帰結で、かつてはそのような考え方が一般的でした

この 「かつては」という表現 に注目してください。いまは違います。

しかし、現在では、商標権者から商標の使用許諾を得ていなくとも、「真正商品の並行輸入」にあたる場合には、商標権の侵害にあたらないとされています。

侵害にならないための3つの条件

最高裁が平成15年2月27日の判決で示した条件を、特許庁が次のようにまとめています。

  1. その商標が、輸入元の外国で、正当な権利者によって適法に付けられたものであること
  2. 外国の商標権者と日本の商標権者が同一人か、同一と見なせる関係にあること(=商標が同じ出所を示していること)
  3. 日本で売られている正規品と、品質において実質的な差がないこと

この3つが揃えば、商標が果たすべき役割は損なわれていないので、権利の侵害にはあたらないという考え方です。

そして税関も、同じ立場で運用しています。

権利者から輸入の許諾を得た物品や、商標権等の侵害とならない並行輸入品などは、知的財産侵害物品とはならないので輸入することができます

逆に「侵害になる」場合もある

3つの条件のうち1つでも欠けると、話が変わります。特許庁は具体例を2つ挙げています。

①品質が実質的に違う場合

我が国で販売された商品と品質的には実質的な差異がある商品であり、我が国の登録商標が保証する品質と実質的に異なる商品が輸入されたといった事情があれば、その輸入業者による輸入や日本国内での販売は、商標権の侵害にあたる

②包装を詰め替えた場合

包装の取替えや詰め替えがなされ、それによって商品の品質が害される恐れもありえたような事情がある場合も、商標権の侵害にあたる

つまり「本物だから何でもいい」わけではありません。同じブランド名で売る以上、中身も同じ品質でなければならない、という考え方です。

偽物(模倣品)との違いは、ここが決定的

並行輸入品と模倣品は、まったく別のものです。

並行輸入品 模倣品(偽物)
商品そのもの 本物 偽物
商標を付けた人 正当な権利者 無関係の第三者
税関 輸入できる 輸入できない(差し止め)

🚨 そして2022年10月から、扱いが厳しくなりました。

個人で使用する場合であっても、海外の事業者から郵送等で送付される模倣品(意匠権又は商標権を侵害するもの)は、令和4年10月1日から、輸入してはならない貨物として税関による取締りの対象となっています。

以前は「自分で使うだけなら」という例外がありましたが、いまは個人利用でも止められます。海外通販で偽物を買うと、届かずに税関で処分される可能性がある、ということです。

買う側が本当に気にすべきこと

法律上は問題なくても、買う側にとっての実害は別にあります。

メーカー保証は受けられますか
受けられないことが多いです。日本の正規代理店の保証は「代理店が売った品」に対するものだからです。並行輸入品には、販売店が独自に付ける保証(あれば)だけが付きます。商品ページで保証の有無と期間を必ず確認してください。
説明書が日本語ではないことがありますか
あります。海外向けの箱・説明書のまま届くのが普通です。
日本で使えないことはありますか
あります。電波を出す機器は技適マーク、電気を使う機器はPSEマークの話が別にあります。並行輸入品かどうかとは、まったく別の問題として確認が必要です。
初期不良のときはどうなりますか
売った店とのやり取りになります。メーカーは窓口になりません。返金されないときの順番も参考にしてください。
「並行輸入品だから危ない」ではなく、「保証とサポートが正規品とは違う」と考えるのが正確です。

まとめ

  • 並行輸入品は本物。正規代理店を通さない、もう1本のルートで入ってきた商品のこと
  • 3つの条件(適法に付けられた商標/同じ出所/実質的に同じ品質)を満たせば商標権の侵害にはならない
  • 品質が違ったり、包装を詰め替えたりすると侵害になりうる
  • 模倣品はまったくの別物。2022年10月から、個人が使う目的でも税関で止められる
  • 実害として大きいのはメーカー保証が受けられないこと。安さと引き換えに何を手放すのかを見てから買う

この記事は特許庁および税関が公表している説明にもとづいています。 個別の商品が「真正商品の並行輸入」にあたるかどうかの判断は、政府模倣品・海賊版対策総合窓口(特許庁)や税関の相談官へお問い合わせください。

出典

制度は変わることがあります。実際のお手続きの前に、必ず出典の最新情報をご確認ください。

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の助言ではありません。

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